中秋の名月にはススキを飾って、月を見ながらお団子を食べるのが風流ですね。
でも、どうしてススキやお団子などお供え物を添えるようになったんでしょうか?
十五夜の象徴ともいえるススキやお団子の由来を知って、ちょっと物知りになっちゃいましょう!
中秋の名月にお供え物を添える意味は?
まず、お月見のときに月にススキやお団子などをお供えする理由からお話しします。
中秋の名月は、もともとは「今年もお米や作物を無事に収穫できてありがとうございます」という意味を込めて行われていました。
ススキやお団子などを供える由来は、実りの神様に感謝する気持ちを表すためです。
他にもお神酒などを供えるというから、お月見は本当に神事の意味合いが強いんですね。
また、昔は街灯などがなく、夜は真っ暗で月明かりに頼るしかない時代でした。
とくに夜に農作業をしているときなどは月の明かりがないと何もできませんでした。
「お月様、農作業をしやすいように光を与えてくださってありがとうございます」と、感謝を伝えるためにお供え物を添えるともいわれています。
収穫を感謝するとともに、日本ではただ単に月を眺めて、美しさを味わう風習もあります。
昔の日本では月の満ち欠けに合わせてあらゆる年中行事をとりおこなっていたので、月の重要性が今よりもはるかに大きかったのです。
それこそ神様といわんばかりの存在だったので、日ごろの生活の道しるべとなる月に感謝する意味合いも強かったです。
今の時代のお月見は「わーキレイー」でも十分だと思いますが、こういう背景があったこともぜひ知っておきたいですね。
中秋の名月にはなぜススキを飾るの?
実りの神様に「今年も無事に収穫を迎えられましたことをお礼申し上げます」というのが、十五夜の本来の目的でしたね。
日本の農作物で代表的なのはお米ですが、お月見の時期はまだ稲刈りができる状態ではありません。
収穫した新米がないので、その代わりに稲穂に形が似ているススキを飾っています。
はたして代用品でいいのか?と首をかしげてしまいますが、ススキの効果はこれだけではないんです。
神様にささげたススキを家の軒先に吊るしておくと、向こう一年間の厄災(病気など)を追い払ってくれる言い伝えがあります。
ススキのように穂先が鋭いものは魔物が嫌うので、魔除けの効果があって、あらゆる災厄が起きなくなるとのことです。
そう考えると、私たちの健康を守ってくれるススキの効果ってすごいものなんですね(^^)
同じように、ひな祭り(上巳の節句)には香りの強い桃を、こどもの日(端午の節句)には刀のように鋭い菖蒲をお供えします。
香りの強いものも魔除けになって子どもの健康や長寿を守るため、といわれています。
今の時代は農作業をしているご家庭も減ってきているのですが、ススキを飾る理由は覚えておいて損はないですね。
中秋の名月にお団子を用意する由来とは?
お月見のときに、どうして作物ではなく、満月をモチーフとした月見団子を用意するようになったんでしょうか?
月見団子を用意する由来は、神様に感謝の気持ちを伝えるために食べ物を献上することです。
なぜ作物ではなくお団子なのかというと、月見団子の形がサトイモに似ているからといわれています。
日本ではもともとサトイモを主食として食べていた時代もあったそうで、現代とは違ってサトイモは「なくてはならないもの」として大切にされてきたのもあります。
中秋の名月はもともと「芋名月」という別名があって、サトイモの収穫を祝う目的もありました。
大阪の一部地区などでは、サトイモと月見団子を一緒に煮て食べる地域もあります。
日本ではかつてサトイモが主食とされていた時期もありましたが、そのうち稲作が広く普及しました。
稲作が主流になると、サトイモではなく、月の形をかたどった月見団子をお米で作るようになりました。
お米(=作物)で月見団子を作って、稲刈りが無事に成功するように月に祈ったという説もあります。
こういう由来を知っておくと、何気なく食べているお団子も味わい深いものになりますね。
中秋の名月でススキやお団子を供える理由のまとめ
お月見のときになんとなくそこにあるススキやお団子は、平民が稲作をしていた時代では、収穫の感謝を月に伝える風習がありました。
月の神様にお供えをして、これまでの収穫が成功したことへの感謝や、稲刈りなどの成功の祈願をしていました。
昔の人にとって中秋の名月はなくてはならない大切なものだった、というのは覚えておきたいですね。